有明のうすらあかりは・・・・
yamamotoさんのブログでい一足早く可憐な色の苧環をもみせていただいた。
まだ、ふらんすもアメリカも遠い遠い昭和三十年代後半に思春期だった私たち(夢見る乙女達)ロマンティックギャルはよく詩を諳んじていた。
堀口大学がいいの、佐藤春夫が好きだの・・・
古本屋で北原白秋の詩集<砂金>を見つけたときは、それはもう大はしゃぎ。光沢のある濃い桜色の絹で装丁されたその本は宝石箱のように見えた。
唄を忘れたカナリアは〜 えっ?これ白秋だったのぉ?
おだまき と言う花の名前を知ったのは萩原朔太郎の<夜汽車>からだった。
有明のうすらあかりは/硝戸に指のあと冷たく/
しののめちかき汽車の窓より空をながむれば・・・・・
苧環の花ばかりがうっすらと白くうかんで見えたという様子がしのばれる。
はじめは道行きという題だったようだがまだ十五、六歳のギャル達にはその深い意味よりも大人の恋に憧れる気持ちの方がつよく言葉からかもし出される雰囲気に陶酔していた。
おだまき どんなはなだろう? 急行列車から新幹線に乗り継いできたような生活の中でいつの間にか忘れてしまっていた花の名前。
二,三年前友人が 「これ、苧環、庭先に増えたから」 と、一鉢もってきてくれた。
「これ、西洋苧環、日本苧環はもう少しやさしい花よ」
以来庭先に春を知らせに顔を出してくれる。
今朝、あわてて迎えに行った。 今年は日本苧環さがしてみよう。
苧環や 子を待つ顔の みどりかな (恥)
by unonosarara60 | 2007-04-06 12:02